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こころの金メダル

こころの金メダル

ちがいのちがい

ちがいのちがい


【「ちがいのちがい」について】

 よく使われている手法なので、ご存知の方も多いと思いますが、簡単に説明すると、「ちがう」ということには2種類あって、1つは「あってもいいちがい」、もう1つは「絶対にあってはいけないちがい」ということです。

1つ1つの事例について、これは「あってもいいちがい」なのか「あってはいけないちがい」なのかを考える中で、差別についての意識を高めていく。



【指導の流れ】


1時間目
 「ちがいのちがい」について、ゆっくりと時間をかけて説明し理解させる。

           ↓
 カードを使って、「あってもいいちがい」と「あってはいけないちがい」
に分類していく。
           ↓
 教室の中の「ちがいのちがい」を見つけ出す
  例:○○君は掃除を一生懸命にやるが、△△君はすぐにサボる


2時間目
 教室の中の「ちがいのちがい」を挙げながら、意見を出していく。
           ↓
 今日の「気づき」を話し合う


3時間目
 前時の「気づき」から意見を交換していく




【子どもの様子】


 3クラスとも共通して、1時間目では、内容が「自分たちとは関係の薄いもの」というか、直接的に関わってくるものではないだけに、分類していく際にも活発な意見が飛び交うことが多かった。

 しかし、2時間目になると、「教室の中の出来事」という身近なワクがかかるために、意見を出すことに、ややためらいが出てきた。

どんよりとした重い雰囲気になったりもしたが、これはよく考えている証拠だと思う。



【カード】

1時間目に使用したものである。

30枚近くあるが、学年などを考えて、5年生では以下の10枚を使用した。

大きく拡大して黒板にはっていくものと
小さく切って、各グループごとに話し合わせるための2種類がある。


1 大人はタバコを吸ってもいいが、中学生は吸ってはいけない。

2 ジョン君は肌の色が黒いが、トム君は白い。

3 伊東君は、こわい先生の言うことはよくきくが、こわくない先生の言う  ことはきかない

4 石川君はニンジンがキライだが、浦田さんは何でも食べる。

5 田中さんは中学校卒業後、ガソリンスタンドで働いているが、山下さん  は高校へ進学した。

6 東さんの家では必ず父親が先に風呂に入るが、西君の家では決まってい  ない。

7 森山さんはどこへでも旅行できるが、車イスに乗っている村田さんは1  人で電車に乗ることができない。

8 日本では食事の時にハシを使うが、インドでは指を使う。

9 11才の安部さんは毎日学校に行っているが、同じ年のフィリピンのオ  スカー君は、毎日路上でガムを売っている。

10マラソン大会で、男子は10km走り、女子は5km走る。



【子どもの気づき】(1時間目が終わって)


1~10までの「一般的なちがいのちがい」を考えた後の気づきです。


*人それぞれにちがいがあると思った。

国のちがいとか人のちがいとか、それぞれあって、おもしろくて勉強になりました。

ちがいの中に、またちがいがあるなんて知らなかった。

でも、2時間ちゃんとやってくれたから、とてもわかりやすかったです。

また、ちがいについて考えたいです。




*マラソン大会で、男子は10Km走り、女子は5Km走るというのは、すぐに「あったらダメなちがい」になるかと思ったら、全然話が合わなかった。

その時私は、人はいろいろな意見を持っていて、1つに決められないほどの考えを人間は持っていると感じた。

このクラスはいいクラスだけど、みんな失敗だって犯すことがある。

そんなみんながいてくれて、前までも「いいクラスだなぁ」って思ってたけど、今日この話を聴いて「とてもいいクラスだなぁ」に変わった。


*先生が「あってもいいちがい」と「あったらダメなちがい」について話してくれた。

その時私は、この3組にも「あってもいいちがい」と「あったらあかんちがい」があると思った。

イジメがあったりしていたからです。


*僕は、こんなことを学校でやったのは初めてだった。

けれど、今までわからなかったことが、今日この時間でわかったからうれしかった。



*いつも普段、普通に生活していて、人・物・しぐさのちがいなんて、全く考えてもいなかったけど、今日そのことを考えてみて、いけないことや別にいいこと、わかりにくいことなどがたくさんありました。

もう少し考えれば、もう数え切れないぐらいのちがいがあると思います。



*この「ちがいのちがい」を聴いてたら、○○君と○○君のちがいに気づいた。

けれど、それも個性なんだなぁと途中からわかってきた。


*今日、話を聴いてて「その人自身が変わっていくんだなぁ」と思った。

すごく楽しい授業だった。



*またまた先生には、これから先に使っていくことを教えてもらったなぁ、と思いました。

「ちがいのちがい」なんて、最初きいた時「なにそれ~?」って感じやったけど、授業2時間を終えて「そういうことなんや」って理解できました。

 1~4年、これまではこんなこと1こも考えたことなかったけど、このクラスになっていろんなことを教わってるなと思います。




【子どもの気づき】(2時間目が終わって)

 1時間目のような一般的な事象ではなく、クラスの中の「ちがいのちがい」について考えた後の気づきです。



*3組でも「あっていいちがい」と「あってはダメなちがい」がいっぱいある。

先生が言っていたように、口で言うのは簡単だが、行動に出すことはむずかしいと思う。

 それと、先生はAが教室にいる時でも、Aのことを出し過ぎだと思う。

Aは気にしてないフリして遊んでるけど、心の中では気にしていると思う。

自分がこういうことを出されたら、気にしてしまうと思う。


*Aは、授業中に先生が話している時に遊んでいて、たまに「ムカツク」なんて思ってるけど、私たちだって、毎日授業の時、100%集中しないでちがうことをしていたりするから、Aにそんなえらそうなことは言えないと思う。

この1時間で、Aにだけ変な目でみてはいけないと思った。


*Aが発言したらムカツクとか、そういうのは3組ではないと思う。

でも、みんな先生の話を聴いているのに、Aだけ自分のやりたいことをやるというのはダメだと思う。

だから、これから、みんなと同じようにしてほしいと思う。


*ほとんどの人が、口だけだと思う。

ぼくも口だけな時があります。だから、今日聴いて、口だけでなく、カゲでいじめたりしないようにする。



*先生はいつも「偏見はダメ」「決めつけはダメ」って言ってるけど、先生もちょっとはやってるような気がする。

だから、人はだれでも「言ってもできないこと」はあるんだなと思った。



*先生はAのことをよく授業に出すと思う。

道徳の時間が、その話をするためのようなものの気がしてきた。

私は、その話があまり好きではない。

その話を聴くと、クラスがどよ~んとするから、あまり好きじゃないです。

話をした時に「あ~、またこの話か」と思うことがあります。



*正直言って、Aにへんなこと言ったりすることが時々ある。

ごめんなさい。でも自分は人に変なこと言ったり、絶対にせんとこって何回も思ったりする。

でも、それを忘れてしまう。どうしてだろうか?

 南中ソーランでは、みんなのこころを合わせて気持ちよく踊った。

だから、これからもみんなのこころを合わせたい。

長なわ大会でも、みんなのこころを合わせたい。

5年生の生活は、あともう少しで終わる。

 だから、1回でも多くみんなのこころを合わせたい。

先生、こんな3組を6年生になるまで、支えて下さい。

これからもよろしくお願いします。



「ふ」
 本当によ~く考えています。ここにのせることができなかった中にも、いい意見がたくさんありました。

どんな意見もあります(1人1人ちがうんだから)でも、考えるということが1番大切なんです。

 みんなは、すごく考えていることがわかります。今日は、これを読んでみて、もう一度考えてみて下さい。

 「先生も決めつけてるやん」っていう意見、おもしろかったですね。

そう言われたらそうやなぁ~。気をつけないとダメやなぁと思う。

「ふ」も考える、みんなも考える、そこから「いいクラス」ができてくるんやないかなぁ。




【第3者の目】

 スクールサポーター(大学4年生)の先生に、この授業を見続けた感想を書いてもらいました。私たちの「固定観念」では見ることのできない部分を、たくさん学ぶことができました。



*「ちがいのちがい」を見学して、3組の子らが、本当に素直なんだということと、まだこの子たちは、他人の気持ちになって物事を考えたことがあまりないということに気づきました。

「車いすの人は、1人で電車に乗れない」「フィリピンの同じ年の子が、毎日路上でガムを売っている」というのに対して、「車いすの人は、1人で電車に乗られへんねんやったら、乗らんでいいやん」「フィリピンの子も、ガム売ってお金もうけをしてるんやからええやん」のような意見が多く出ました。

この子たちにとって、ハンディを負っている人のことはまだ考えられない。

「仕方がない」と退けるような考え方をするんだとわかり、大変、衝撃を受けました。


 次の時間では「他の子がたたいても許すが、Aがたたくと許せない」というのが、取り上げられました。

2枚・3枚と取り上げられていくうちに、子どもたちの雰囲気がドヨーンとした重たいものに変わりました。

 その時ある子が「今、口ではあかんって言ってるけども、俺やってるわ」と発言しました。

すると、他の子どもたちも「自分もやってるわ」と気づく子が出てきました。

 その授業の感想で、「口で言うのは簡単やけど、実行するのは難しい」「Aは授業中遊んでるけど、話は聞いている。

遊びながらでも聞いてくれたらいい」とAを理解して受け入れている子もいました。

 まず大切なのは、Aのことを考えようとさせるのではなくて、子どもたちに「自分のやっていることに気づかせる」ことなんだとわかりました。






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